かわいい我が子が白目をむいて泡を吹きながら体中をがくがくさせたとき、また、お子さんがけいれんしました!と園から連絡があったとき、パニックにならないパパ・ママはいないでしょう。
そんなときどうしたらいいのか、我が子はてんかんなのか、今後家でどんなことに気をつけたらいいのか、パパ・ママの疑問に答えます。
子どもがひきつけをおこした!どうしたらいいの!?
あれ?うちの子の様子がおかしい…?と思ったら、瞬きせず目を見開いて手足がガタガタ震え始めた!パパ・ママはまず、気持ちを落ち着けましょう。我が子に適切な処置ができるのは、その場にいるパパ・ママだけです。
けいれんを止めようと、身体を押さえつける親御さんがたまにいます!
正しい対処法を知りましょう
部屋の電気をつけ、口の中のものを取り除き、
横向きに寝かせる
たしかにけいれんは恐ろしいのですが、実はけいれんより恐ろしいことがあります。それは「誤嚥」です。身体の制御が効かない状態ですので、なにかを誤嚥してしまった場合、呼吸ができなくなり命の危機に陥ります。
横向きに寝かせることで、誤嚥をふせぐことができます。
時間を確認する
けいれんは持続時間が重要で、もし5分以上継続するようだったら、すぐ救急車を呼ぶ必要があります。持続時間を確認するために、子どもを横に寝かせたら時間を確認しましょう。
熱性けいれんの場合は、多くは1~2分で収まりますが
親としてはもっと長く感じてしまうものです。
けいれんの様子を動画に撮る、もしくは観察する
けいれんの様子によってはすぐに救急車を呼んだほうがいい場合があります。それは左右非対称にけいれんをしている場合です。けいれんが左右片方のみだったり、左右どちらかのみ手足や顔をつっぱっているような場合はすぐ救急車を呼びましょう。
実は医師目線としてはけいれんの様子によっていろんな疾患の可能性を絞っていきます。いつ、どのように始まったかがとても重要なのです。
何をしているときに始まったのか。寝てるとき?テレビを見ているとき?
また、けいれんはどのように始まったのか。嘔吐してからけいれんが出た?
最初から体全体がけいれんしていた?
どれも大切な手がかりですが、病院に来る頃にはけいれんがおさまっているので、パパ・ママの観察が手がかりです。
ただ、親御さんの多くはパニックで当時の様子を思い出せないのです。そこで手持ちの携帯で動画撮影をすることをおすすめします。それなら後で医師がしっかり確認できますね。
はじめてのけいれんの後、どんなことに気をつけたらいいの?
けいれんが落ち着いたら、目が合うかを確認
赤ちゃんはしゃべれないので、けいれん後意識が戻ったかどうかを「目が合うか」どうかで確認します。いつまでたっても目が合わず、ボーッとしている場合、動きが落ち着いていていても実はけいれんが持続していることがありますので、その場合も救急車を呼びましょう。
熱を測る
乳幼児のけいれんの多くは「単純型熱性けいれん」と呼ばれるもので、後遺症が残ることなく自然と治ります。熱性けいれんはその名の通り、発熱時に起こるけいれんです。熱を測って38度未満であったばあい、熱性けいれん以外の可能性が高く病院での精査が必要になりますので、熱を測ってみましょう。
病院へ連絡し、受診する
日中の場合はかかりつけ医に電話して受診可能か聞いてみましょう。
また夜間の場合は、救急外来を受診しましょう。その際も、一本電話があるとスムーズですね。
病院受診を迷う場合は#8000に電話して相談してみましょう。
救急車を呼ぶべき症状と、救急車を呼ばないまでも病院受診をしたほうがいい症状をまとめました。
- 5分以上けいれんが持続している
- 左右非対称にけいれんしている
- おさまった後も目があわない
- 一日に何度も繰り返す
- 唇が紫色になっている(チアノーゼ)
- 初めて高熱でけいれんした
- 38℃未満の発熱でけいれんした
うちの子は、てんかんなの?けいれんとてんかんについて
病院受診されたパパ・ママは「うちの子はてんかんなのかな」ということを非常に気にされています。てんかんは怖い病気で、けいれんする病気、というふうに考えていらっしゃる方が多いのですね。けいれんとてんかんについて簡単に解説していきます。
うちの子は車の免許は取らないほうがいいんですよね?と聞かれる親御さんもいらっしゃいます。心配で当然です。
けいれん=てんかん、ではありません!
けいれんを起こした!うちの子はてんかんなんだ…!と思われる親御さんはとても多いです。確かに、てんかんが原因でけいれんが引き起こされることはあります。ですが、てんかんでなくてもけいれんを起こすことはありますし、てんかんだとしてもけいれんを起こさないこともあるのです。
だんだん「てんかん」と「けいれん」がゲシュタルト崩壊を起こしてきました
けいれんを引き起こす、てんかん以外の原因をまとめました。
こういった原因でけいれんを引き起こす子どもは、子供の時期にだけけいれんを引き起こしやすい「体質」であると考えられており、年齢があがれば
やがてけいれんは見られなくなります。
- 発熱
- 胃腸炎
- 入浴
- 激しい啼泣
一部の熱性けいれんには注意が必要です
上記で述べた通り、発熱が原因となるけいれん、熱性けいれんのほとんどは単純型熱性けいれんと呼ばれ、一過性に消失していきます。
ただし、熱性けいれんの10%が複雑型熱性けいれんであると言われています。複雑型熱性けいれんを起こした子どもはの一部はてんかんに発展する可能性があり、小児科でフォローしていくことがあります。
複雑型熱性けいれんの発作は以下のいずれかに該当する場合です。
- 15分以上持続している
- けいれん発作が左右非対称である
- 24時間以内にけいれん発作を繰り返す
てんかんの多くは年齢とともに消失していきます
発熱といった原因なくけいれん発作が起きた場合、てんかんによるけいれん発作である可能性が高いでしょう。その場合も、不必要に恐れる心配はありません。
てんかんは「素因性てんかん」と「症候性てんかん」の2つに分類されます。「素因性てんかん」に関しては、年齢が上がるとともに発作がなくなる、予後良好な良性のてんかんと言われています。発達が遅れたり、予後が悪いのとされるのは「症候性てんかん」の一部のことなのです。
今回は、けいれんとてんかんについてお話しました。けいれん発作はけっしてまれなことではありません。もし我が子に起きたとき、不必要に恐れたりせず、正しく対処できるようになりましょう!
けいれんが起きたら、横にして、時間を確認して、動画に撮る。この3stepが大切です
今回の主な参考文献
- 初めてのけいれん 榎日出夫著
- 月刊薬事 小児疾患の薬物治療ガイドライン総まとめ 五十嵐隆編集代表