あれ?赤ちゃんの体が熱い。でも子どもって体温高いっていうし、他に症状病院に行くほどではない?
急な子どもの発熱。特に夜間だと、わざわざ支度して救急病院にかかるべきか迷いますよね。すぐに病院に行くべき危険な発熱と、様子を見てもいい発熱についてお話していこうと思います。
発熱で予想される怖い病気ってどんなのがあるの?
発熱のほとんどは軽症のウイルス性感染症です。ただ、そんな中で重篤な細菌による感染症であることがあります。
昨今のコロナウイルスによる影響で、ウイルスは細菌より怖い!と思われがちですが、実はより重篤な症状を呈するのは細菌のほうが多いのです。
- 菌血症・敗血症
- 細菌が血液中に入り込んだ状態
- 血管を通じて体中に細菌が回り込む
- たくさんの臓器がダメージを負う可能性がある
- 脳炎
- 細菌が脳で炎症を起こしている状態
- 脳がダメージを負い、後遺症が残る可能性がある
- 髄膜炎
- 細菌が髄液に入り込んだ状態
- 脳に細菌が回り込みやすいため、脳炎になりやすい
- 尿路感染症
- 細菌がおしっこの通る道に入り込んだ状態
- 血管に通じやすいため、菌血症・敗血症になりやすい
命に関わったり、後遺症を残すことになったりするような怖い発熱があることにご理解いただけたでしょうか?
病院に連れて行ったほうがいいのはどんなとき?
では、発熱したらすぐ病院に連れて行ったらいいのでしょうか?
そもそも、何度以上になったら発熱していると考えたらいいのでしょうか?
小児の正常な体温の上限は37.5~38度と多く報告されています。38度以上を示したとき、「発熱した」と考えて良いでしょう。
では、どのようなとき病院に行ったらいいでしょうか。
月齢が3ヶ月未満、もしくはワクチン未摂取の場合
生まれたての赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫で感染防御をしているので、自分の免疫力はまだゼロです。そんなワクチン未摂取の低月齢の赤ちゃんは、髄膜炎という脳や脊髄を覆っている髄膜に感染を起こすことがあります。髄膜炎はいまだに命を落とす原因となる病気です。たくさんの抗菌薬がある現代においても、髄膜炎は数こそすくなくなりましたが、いまだに赤ちゃんを脅かしています。
発熱している2ヶ月未満が病院に来たら、即入院!即抗菌薬投与!です。菌・即・斬!!
38.5度以上の熱が3日以上続いている場合
発熱が持続しているとき、感染症以外の疾患の可能性があります。医療機関を受診しましょう。
けいれんを伴う場合
5歳くらいまで、発熱が原因となってけいれん(ひきつけ)を起こすことがあります。これを熱性けいれんといい、その多くは一度きりで終わります。白目を剥いて、急に体をガタガタいわせはじめる我が子を見て、恐ろしくないパパ・ママはいないでしょう。不必要におびえることはありません。
もし子どもがけいれんを始めたら、すぐに部屋の電気をつけて、子どもを横向きに寝かし、時間を確認します。そしてその後、できれば動画で撮影することをおすすめします。後で医療機関を受診した際、医師は動画からかなり情報を得ることができるからです。
もし5分経ってもけいれんがおさまっていなかったら、救急車を呼びましょう。5分以内におさまっていたら、自力で医療機関を受診しましょう。
けいれんに関しては別途記事化の予定です!
ぐったりして、目を合わさなかったりミルクが哺乳できていない場合
赤ちゃんと目が合わない場合、赤ちゃんの意識が混濁している可能性があり、重篤な状態である可能性があります。さらに、ミルクが哺乳できていないとなると、脱水状態になっている可能性があります。その場合、点滴で補液する必要があります。こういった場合も病院に行きましょう。
パパ・ママから見て、「なにかおかしい」と感じたとき
普段赤ちゃんを見ているパパ・ママからみて、「おかしい」と感じるようであれば、すぐに受診、もしくは受診してもいいか病院に電話してみましょう。怖い病気は先程述べたもの以外にもたくさんあります。パパ・ママの「おかしい」が一番敏感なセンサーなのです。
自宅で様子を見る場合、どんなふうに看病したらいい?
発熱で苦しそうにしている赤ちゃんを自宅で看病するとなった場合、どんなところに気をつけたらいいでしょうか。
こまめに水分補給する
赤ちゃんは水分がすぐ体から出ていってしまいます。脱水状態になると、血液が濃縮されてどろどろ血液になってしまい、栄養が体にいきわたりにくくなります。麦茶や湯冷ましなどをこまめに飲ませてあげましょう。
そうはいっても、機嫌が悪くなかなか水を飲んでくれないこともあります。そういう場合は少しずつでもいいですし、氷をなめさせる程度でも大丈夫です。嘔吐・下痢がなければ急には脱水状態にまではならないものです。
12時間以上おしっこをしない、口の中や唇がかさかさに乾燥しているなどの症状があれば医療機関を受診しましょう。
身体を冷やす
身体を冷やすといっても、冷房をつけたりしてはいけません。
首や脇の下は太い血管が通っているので、冷やすことで効率よく体温を下げることが出来ます。首や脇の下にタオルで巻いた保冷剤を当てたり、冷えピタを貼付することで体温を下げてあげましょう。
身体を拭いて肌着を交換する
発熱することでたくさん汗をかきますが、赤ちゃんは皮膚のバリアが弱く、あせもができやすいのです。汗をこまめに拭いて、肌着を交換してあげることであせもを防ぎましょう。
熱が高くて眠れなさそう、しんどそうなときに解熱剤を
パパ・ママとしては解熱剤をどういうタイミングで飲ませるか悩みますね。熱が高くて眠れなさそうであったり、しんどそうなときは飲ませて少し楽にしてあげてよいでしょう。また、熱の出始めは解熱剤を飲ませてもあまり下がらないことがあります。子ども用の解熱剤はそもそも大人用よりやさしく効くようになっていますので、あまり気にしすぎないようにしましょう。
大人から見てびっくりする体温でも、ケロっとしてたら大丈夫なことが多いです☺
ただし、ワクチン未摂取の赤ちゃんは絶対病院につれていきましょう!!
今回の参考文献
- 小児科ファーストタッチ 岡本光宏著
- 小児科レジデントマニュアル第3版 安次嶺馨、我那覇仁編集