赤ちゃんが急にドバッと吐いたらパパ・ママはびっくりですよね!よく吐くとは聞くものの、どれくらいの量・頻度なら大丈夫なのか気になりますね。今日は赤ちゃんの嘔吐について解説します!
赤ちゃんは、嘔吐しやすいってほんと?
「赤ちゃんはよく吐く」
一度は耳にしたことがあるパパ・ママも多いのではないでしょうか。実はこれは本当のことなのです。
というのも、赤ちゃんの胃は容量が小さいだけでなく、大人と違って胃がとっくりのような形をしている上、胃の出入り口が緩いため、胃の内容物が逆流しやすい構造になっています。さらに赤ちゃんはミルクを飲む際、一緒に空気も吸ってしまいます。哺乳後上手にゲップが出来ない赤ちゃんはお腹が苦しくなってミルクを吐きやすくなってしまうのです。
うちの子もゲップが下手くそでした。ゲップをさせてあげたほうが、赤ちゃんはお腹が楽になりますが出来なくても気にしすぎなくて大丈夫です。吸った空気はオナラとしてお尻から出ていきますから。
嘔吐が原因となる、注意すべき疾患は何?
嘔吐は赤ちゃんによくあることとはいえ、嘔吐が出現する疾患はもちろんあります。発熱を伴わずに嘔吐が出現する疾患で、気をつけるべきものをご紹介します。
肥厚性幽門狭窄症
胃の出口が筋肉ムキムキになって狭くなり、ミルクの通過障害が起きる疾患です。生後2〜3週ごろから出現することが多いです。最初はミルクがお口から溢れる(溢乳いつにゅう)程度の嘔吐ですが、だんだん回数が増え、吐き方も噴水状嘔吐と呼ばれる「ピュー」っと出るような出方になります。
嘔吐後も空腹のためミルクを飲みたがります。進行すると、体重増加不良や脱水をきたします。
胃食道逆流症(GERD)
胃の内容物が食道、喉、口に逆流し、そのために肺炎や喘息や胸やけなどを引き起こす状態のことです。原因として食道の下部の筋肉が緩んでしまったり、胃の動きが悪くて内容物がなかなか腸に流れなかったり、消化管の運動が低下してまったりといったことが考えられます。
消化管アレルギー
食物アレルギーの一種です。新生児・乳児期に多く見られます。原因となる食物(粉ミルクなど)を摂取してから、しばらくして(短くて1-2時間後、長いと数日後)嘔吐や血便、ひどい下痢などが起こります。他の症状がみられず体重が増えないだけの場合もあります。
腸重積症
小腸は大腸に続いていますが、そのつなぎ目の部分が大腸にはまり込んで抜けなくなってしまう状態のことをいいます。1歳未満の乳児が半数以上を占めると言われています。強烈な腹痛が出現し、しばらくすると痛みが収まる、といった状態を繰り返します。まだ意思疎通ができない乳児の場合、パパ・ママは急に機嫌が悪くなったと思うこともあります。また、嘔吐、血便も特徴的です。徐々に病状が進行するので、最初から腹痛(もしくは不機嫌)、嘔吐、血便が出るとは限りません。
中腸軸捻転
腸があるべき場所ではない場所でねじれてしまう状態のことで、腸が閉塞してしまったり、血のめぐりが悪くなり腐ってしまったりすることがあります。なぜこのようなことが起きるかというと、赤ちゃんが胎児のとき腸が作られていく過程で、正しく折りたたまれないことがあるためです。症状としては急にミルクが飲めなくなったり、胆汁まじりの緑や黄色の嘔吐をします。8割以上、生後1ヶ月以内に症状が出現します。
うちの子は嘔吐が多く、ミルクをあげたら3回に2回は大量に嘔吐していました。あまりに量が多く、噴水様ではなかったですが、後に肥厚性幽門狭窄症であったことがわかり、手術をしました。この疾患は手術をすればとても予後がよく、今はとっても元気で、身長体重はすくすく平均以上に成長しています!
どういう時は病院受診したらいい?
嘔吐が出現する疾患でこわいものをたくさん紹介しましたが、前述の通り赤ちゃんは吐きやすいものなので多くの場合はゲップが下手であることが原因です。ではどういう嘔吐のとき病院受診すべきかをまとめてみましょう!
- 緑・黄色の嘔吐の場合
- 嘔吐・下痢がおさまらず半日以上水分が取れていない
- 嘔吐だけでなく血便もある
- 嘔吐と同時期に下痢も発症している
- 1ヶ月前と比べて体重が変わらない、もしくは減っている(生後6ヶ月未満の場合)
こういった症状が出ている場合は、ゲップが下手くそなためではなく、消化管に疾患が隠れていたり今すぐ治療が必要な可能性があります。もちろん、パパ・ママからみて「この嘔吐はおかしい!」と思うようであればすぐに病院受診をしましょう!
うちの子は1ヶ月検診で体重増加が少し少なめと指摘されましたが、そのときはまだ病的ではありませんでした。2ヶ月に入り、ワクチン接種で病院受診した際に、ついでに体重を測ってもらったらなんとびっくり!1ヶ月間体重がほとんど増えてなかったのです!すぐにその場にいた小児科の医師に伝えて精密検査したところ、肥厚性幽門狭窄症が見つかりました。
低月齢の間は1ヶ月検診やワクチン接種などで何かと病院受診にかかる機会が多いですので、体重増加を確認したり、かかりつけ医に悩みを相談してもよいかもしれませんね。
今回の主な参考文献
- 小児科ファーストタッチ 岡本光宏著
- 小児科レジデントマニュアル第3版 安次嶺馨、我那覇仁編集
- 小児の薬の選び方・使い方改訂5版 横田俊平他編集