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大変!子どもが熱湯被って火傷した!?応急処置ってどうしたらいいの!

一口に「やけど」といっても、重症度は3段階にわかれます!

熱傷(ねっしょう)、つまりやけどは子どもに多く認める怪我の一つです。
あやまって熱い汁をかぶってしまったり、熱いなにかを触ってしまったり。

やけどって、ちょっと赤くなるだけのときもあれば、水疱がぷっくりできてしまうこともあるし、
大やけどだと痕が残ってしまうとも聞きますよね。
そうなのです。一口にやけどといっても、軽症から重症まで幅が広いのです。
わたし達医療従事者はやけどを、やけどの深さに応じて3つの重症度に分類して治療方針をたてています。その3つとは表皮までのⅠ度、
真皮までのⅡ度、皮下組織以上のⅢ度の3つ。
それぞれについて簡単に説明します。

Ⅰ度熱傷(表皮までのやけど)

Ⅰ度は皮膚に赤みが残る程度です。日焼けと同じですね。Ⅰ度の熱傷では、炎症を抑える軟膏などを塗ればほとんどが後遺症を残さず治ります。

Ⅱ度熱傷(真皮までのやけど)

水ぶくれが出来るのがⅡ度の熱傷です。ヒリヒリとした痛みを伴います。Ⅱ度の熱傷は、そのやけどの深さに応じてさらに2つに分類されます。浅いものを浅達性(せんたつせい)、深いものを深達性(しんたつせい)と言います。浅達性Ⅱ度熱傷は、一時的に色素沈着することはありますが、1~2週間以内に治癒するものがほとんどです。深達性2度熱傷はは治癒するのに2週間以上かかり、ときに瘢痕化することがあります。つまり痕が残る可能性があるということです。

Ⅲ度熱傷(皮下組織以上のやけど)

Ⅲ度熱傷は真皮のさらにした、皮下脂肪以上にまでやけどが及んでいる場合を指します。皮下脂肪の下層は筋肉ですので、皮下脂肪というのがいかに深い位置にあるかがわかりますね。Ⅲ度になると、皮膚の色は白くなり、感覚を感じなくなります。皮膚の再生は難しく、よっぽど範囲が小さくない限りは植皮とよばれる、皮を移植する手術が必要になります。

ゆきぽん

Ⅲ度熱傷になると、痛みを感じないので自分の症状を軽くみてしまうケースがあります。やけどで救急外来に来た患者さんで、痛いところばかりを訴えていましたが、全身をよく診察したらⅢ度熱傷があった、ということもありました。

応急処置は何をしたらいいの?

やけど直後の対処法

やけどした!と思ったら、ただちに流水で患部を冷やしましょう

冷やすことにより、やけどが深くなるのを防ぐだけでなく、痛みも和らぎます。手足など、漬けられるのであれば水を張った洗面器などに漬けるのもOKです。その場合は水がぬるくなったら入れ替えましょうね。逆に広範囲のやけどであればシャワーで冷やすとよいでしょう。
最低でも15分程度は冷やしましょう。冷やし足りない気がするなら30分程度までなら冷やし続けても大丈夫です。

ゆきぽん

冷やしすぎて体が冷えていないか気をつけましょう!子どもは体が小さいのですぐ体全体が冷えてしまいます。

もし服の上から熱湯や火をかぶってやけどした場合は、服を脱がさず服の上からシャワーをかけてください。無理に服を脱がそうとして水ぶくれが破れたり、皮膚がやぶけたりする可能性があります。とくに乳幼児に多い、熱湯の風呂に落ちてしまったような場合も服を脱がさずに上からシャワーを浴びせましょう。

水ぶくれはどうしたらいい?

水ぶくれができたときは潰す必要はありません。気になる場合は穴を開けて水を出してもかまいません。その場合は残った皮膚をぺたっと貼り付けておきましょう。皮膚まで取ってしまうと、やけどの部位がむき出しになるので痛みが強くなりますし、皮膚の治りも遅くなってしまいます。

塗り薬はなにか塗ったほうがいい?

病院受診をしないでよい程度のやけどであれば基本的に塗り薬は必要ありませんが、気になる場合はワセリン、保湿剤、抗菌薬入りの軟膏などを塗ると良いでしょう。直接塗るのは刺激になりますので、ガーゼなどに塗りつけたものをそっと当てるようにしましょう。

お風呂は入ってもいい?

やけどした部位の皮膚はダメージを受けて弱くなっています。細菌からの防御力が弱くなっているので、できればお風呂は避けましょう。シャワーは問題ないのですが、お風呂はどうしても細菌が繁殖しやすいのです。
また、こするとよくないかな?と思ったパパ・ママが、洗うのを避けることがあります。細菌感染の観点からこれはあまりよくないです。石鹸やボディーソープを泡立てて、やさしく手であらってあげれば大丈夫です。洗うことで細菌感染を防ぎましょう。

病院受診の目安はなに?

では、病院を受診すべきときはどういうときでしょうか?Ⅰ度熱傷ならいかなくてもよいのでしょうか?
実は、やけどの場合はやけどの深さだけでなく、やけどの範囲、場所によっては病院受診すべきときがあります!

病院受診の目安
  • 赤みがみられる程度(Ⅰ度熱傷)でも広範囲(片足以上、片手以上、お腹や背中全体など)にわたるとき
  • やけどをしたのが顔、肛門部、手のひら・足の裏、陰部などのとき
  • 皮膚が白っぽかったり、暗赤色になってしまったとき

こういった場合は、医療機関での適切な処置が必要になります!

やけどの原因を遠ざけよう!

消費者庁によると、乳幼児のやけどの原因は、炊飯器の蒸気に触れる、電気ケトルを倒して熱湯を浴びる、使用中の熱いグリル扉に触れる、などが多いようです。
多くがキッチンで起きている事故ですね。ベビーガードなどを使ってそもそもキッチンに侵入させない仕組みにしておくとやけどを予防できます。

また、いままで「うちの子はここには入れないから大丈夫」と思っていても、子どもは月齢によってどんどん行動範囲、出来ることが増えていきます!パパ・ママは、早め早めの対処をするようにしましょう。

出典:国民生活センター
ゆきぽん

わたしたち医療従事者も、小さな子どもの熱傷に出会うととても心が痛みます。自分を責めるパパ・ママ、痛い痛いと泣く子供。どちらもつらいです。このような悲しい事故を起こさないためにちょっとした想像と工夫が大事だと思うのです。
今は色々と便利なものがあり、事故防止のアイデアも調べたらたくさん出てきます。一度パパ・ママでお家の中の危険予知点検、してみましょう!

今回の主な参考文献

  • 小児科当直医マニュアル改定第15版 神奈川県立こども医療センター小児内科・小児外科著
  • 当直医マニュアル2019第22版 井上賀元
  • 国民生活センター